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認知症予防のカギ③④⑤⑥(高LDL・高血圧・糖尿病・肥満)をまとめて:脳を守る“血管代謝”コントロール

──医科歯科連携とオーラルフレイル予防につなげる認知症予防戦略

みなさんこんにちは!お口の健康から全身の健康を創造する医療法人ユナイテッド理事長上原亮です。

Lancet Commission(2024年改訂)は、認知症を「避けられない老化」ではなく、中年期からの血管・代謝管理で“遅らせられる”疾患として整理しました。なかでも3〜6の因子は共通して、動脈硬化→微小脳梗塞→白質障害→認知機能低下という“血管ルート”に直結します。さらに歯科の視点では、噛めない・食べにくい(オーラルフレイル)が、食事の質低下や運動不足を招き、代謝が悪化してこのルートを加速させます。

以下、**目標値(目指すべき数値)**をエビデンスとガイドラインに沿って明示します(※個別の病態で調整が必要です)。

🧠 認知症リスク因子一覧(Lancet Commission 等に基づく)

Noリスク因子影響時期脳への影響メカニズム予防・対策のポイント
1難聴中年期〜高齢期脳刺激低下・社会的孤立補聴器使用・早期介入
2運動不足全年齢脳血流低下・BDNF減少有酸素+筋トレ
3高LDLコレステロール中年期動脈硬化・脳血管障害食事療法・薬物治療
4高血圧中年期微小脳梗塞血圧管理
5糖尿病中年期神経炎症・血管障害血糖コントロール
6肥満中年期インスリン抵抗性体重管理
7喫煙全年齢酸化ストレス禁煙
8過度の飲酒全年齢神経毒性節酒
9うつ・社会的孤立高齢期海馬萎縮社会参加
10低教育歴・認知刺激不足若年期〜認知予備力低下生涯学習

①と②は昨日までに記載しました。本日は③~⑥を記載します。

 

③ 高LDLコレステロール:脳の“配管”を詰まらせない

Lancet 2024 は高LDLコレステロールを中年期の新たな認知症リスク因子として追加しました。

理由はシンプルで、LDLが高いほど動脈硬化が進み、脳血管障害(脳梗塞だけでなく、症状が出にくい小梗塞や白質病変)を増やし、認知機能を下げるからです。

目標値(実臨床で使える“基準”)

日本の Japan Atherosclerosis Society ガイドラインはリスク別に LDL目標を設定しています。

  • 低リスク:LDL <160 mg/dL

  • 中リスク:LDL <140 mg/dL

  • 高リスク(一次予防):LDL <120 mg/dL

  • 二次予防(脳梗塞・冠動脈疾患など既往):より厳格(少なくとも <100 mg/dL を目安に、個別化)

認知症予防の実装としては、少なくとも**中年期から「高リスクなら <120」**を“標準装備”にする発想が合理的です(食事+必要なら薬物)。

70以下がよりいいとされています。


④ 高血圧:微小脳梗塞を“静かに増やさない”

血圧は「症状がないまま脳を削る」代表。中年期の高血圧は、微小出血・微小梗塞・白質障害を通じて、認知機能を落とします。

目標値(認知症予防として現実的な着地点)

  • 基本:<130/80 mmHg(多くの主要ガイドラインで中核目標)

  • 可能なら(医師管理下で安全性を確認しつつ):収縮期 <120 mmHg を目標とする“強化療法”が、MCI(軽度認知障害)を減らした試験が有名です(SPRINT MIND)。

つまり、一般向けに言い換えるなら

「まず130/80未満。条件が合えば120台を狙うと脳に追い風」

です。


⑤ 糖尿病:神経炎症と血管障害を“二刀流で抑える”

糖尿病は、血管障害だけでなく、慢性炎症やインスリン抵抗性を通じて神経のダメージも増やします。

目標値(HbA1c:どこを狙うか)

American Diabetes Association の標準的な考え方は、低血糖リスクと生活機能を見ながら個別化です。

  • 多くの成人:HbA1c <7.0%(基本)

  • 高齢で概ね元気・自立:<7.0〜7.5%

  • 併存疾患が多い/低血糖リスクが高い:さらに緩める(安全重視)

さらに近年重要なのが「平均値」だけでなく、HbA1cの安定性(ブレの少なさ)が認知症リスク低下と関連する点です。

結論は、“下げる”だけでなく“乱高下させない”。このためにも食事の質・睡眠・運動・服薬継続が鍵になります。


⑥ 肥満:中年期の“内臓脂肪”が将来の脳に効く

肥満は、血圧・脂質・糖代謝を悪化させ、結果として認知症ルートをまとめて加速します。大規模メタ解析でも、中年期の肥満(BMI高値)が認知症リスク上昇と関連。

目標値(日本人に合わせた現実ライン)

  • 日本の基準では肥満は BMI ≥25

  • 認知症予防の観点では「まず BMI を 25未満へ」。

  • さらに“隠れ肥満”対策として腹囲(内臓脂肪の目安)も併用:日本では腹囲カットオフに議論はありますが、男性85cm・女性80cmを採用する提案もあります。

(ここは体格・筋肉量でブレるので、BMIだけで決め打ちしないのが今どきです。)


🧠 医科歯科連携・認知症予防の観点でどう考えるか

✔ 高 LDLC 放置は脳血管・微小梗塞を増やしやすい

動脈硬化の進行は脳の血管ネットワークを弱らせ、サイレントな梗塞や白質変化を増やします。これが認知機能低下の背景にある疾患プロセスの一つです。

「心臓だけでなく脳の血管も守る」という観点で、LDL の適正管理は合理的です。

✔ LDL 目標値は心血管リスクと一致する面が大きい

「70 未満」の目標値は、もともと 心血管疾患の二次予防(再発抑制)で設定されてきた数値です。

認知症リスクと直接の RCT エビデンスはまだなくても、脳血管障害リスクを減らすという意味では臨床的に支持される目標と捉えられます。

✔ 歯科との関連

歯周病や口腔炎症は全身炎症を亢進し、LDL の酸化や血管内皮機能にも影響を与える可能性が示唆されています(歯周炎は全身炎症スコアを上げ、動脈硬化を促進)。

これにより、口腔ケアが LDL 低下の介助因子として作用する可能性もあります。


🧾 まとめ

  • LDL < 70 mg/dL は主に 心血管イベント再発予防(二次予防) のために臨床ガイドラインで広く採用されています。

  • 観察研究では、LDL < 70 mg/dL と認知症リスク低下との関連が報告されていますが、因果関係の確定には至っていません。

  • 医療現場では 心血管・脳血管リスクを総合的に評価し、必要に応じて LDL を厳格に管理することが推奨されます(主治医の判断が重要)。

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