第一部:静の徳川 — 清水門と清水家、吉宗公の安定策 副題:血脈の静寂、徳の水流れるところ キャッチコピー:「守るとは、鎮めること。」
みなさんこんにちは!お口の健康から全身の健康を創造する医療法人ユナイテッド理事長上原亮です。
先日九段下でインプラントのセミナー受講したのですが、少し時間あったので近くの皇居の公園に行ってみました。
■ 九段下の午後、清水門に佇む
九段下の駅を出て、靖国通りを北の丸公園へと向かうと、ひっそりと現れる石造りの門がある。
それが「清水門」。

都会のざわめきからわずか数分しか離れていないのに、堀の水面に光がきらめき、空気が急に澄んでいくような感覚に包まれる。
冬の午後、門の影が長く伸び、石垣の冷たさが静かな時間を刻んでいた。
ここをくぐり結構な石段を上る。

平坦に見えるが、頑張らないと登れないレベル。
その名の通り、ここにはかつて「清水家」の屋敷があった。
江戸城の北を守るこの門に、私はふと立ち止まり、遠い過去の息づかいに耳を澄ませた。
今は北の丸公園。

■ 吉宗公の危機感と御三卿創設
清水門の名を生んだのは、八代将軍・徳川吉宗公が作り上げた「御三卿(ごさんきょう)」制度に由来する。
享保の改革で知られる吉宗公は、倹約政治の名君としてだけでなく、徳川家の「血脈の安定」を第一に考えた人物でもあった。
江戸幕府の中期、将軍家の跡継ぎ問題は常に幕政を揺るがす火種だった。
もし宗家に後継がいなければ、家臣や外様大名が介入し、幕府の権威が失われる。
吉宗公はその危機を見抜き、自らの子孫を三家に分け、宗家を支える後継候補として備えさせた。
それが——
田安家(次男・宗武)
一橋家(三男・宗尹)
清水家(孫・重好)
である。
この制度は血筋を絶やさぬための「安全弁」であり、幕府の長期安定を支える仕組みだった。
■ 清水家の穏やかな役割
御三卿の中でも、清水家は最も穏やかで静謐な存在だったと伝えられる。
初代・徳川重好(しげよし)は吉宗の孫にあたり、政治の表舞台にはほとんど立たなかった。
その生涯は、まるで清らかな水のように流れ、争いを避け、徳川の安泰を象徴するものだった。
清水邸があった北の丸の地は、もともと澄んだ湧き水に恵まれていた。
そこから「清水家」と名づけられ、門の名として今に残っている。
江戸城の北側を守りながらも、武よりも“徳”で幕府を支える。
この門には、吉宗公が求めた「静の政治」の精神が今も漂っているように思える。
■ 北の丸の成り立ち
北の丸は、江戸城の中でも特別な区域だった。
もともとは本丸を防衛するための要害として整備されたが、三代家光の時代には将軍一族の御殿地となる。
のちに清水家・田安家・一橋家といった将軍親族が居住し、北の丸は「血脈の聖域」として機能した。
現在の北の丸公園には、国立近代美術館、日本武道館、科学技術館などが立ち並び、文化と学びの象徴の地となっている。
しかし、ここがかつて“徳川一族の庭”だったことを思うと、その静けさの中にどこか気品が漂う理由がわかる。
権力の中心でありながら、どこか人を落ち着かせる空気。
それこそが、吉宗公の政治哲学「質素と秩序」の体現だったのだろう。
■ 昨年の大河ドラマと家治・定信の系譜
吉宗公の設計した御三卿制度は、のちの幕政にも深い影響を残す。
九代将軍・徳川家重の子である十代・家治の時代、幕府は一見平穏に見えながらも、財政難と社会の歪みを抱えていた。
このとき、御三卿・田安家の出身として登場するのが松平定信である。
昨年の大河ドラマでは、家治と定信の関係が印象的に描かれていた。
理想を抱く若き老中・定信が、混迷の時代に“秩序”を取り戻そうと苦悩する姿。
その精神の源には、祖父・吉宗公の「安定と改革の両立」という理念が脈打っていた。
清水門の静けさに立つと、あの時代の理想と葛藤がふと甦ってくるようだ。
■ 清水門の“静”が語るもの
清水門の堀に映る影は、まるで過去と現在の狭間を映しているようだ。
400年の時を経てなお、石垣は崩れず、門は黙して語らない。
けれども、その沈黙こそが、安定を支える“強さ”なのだと思う。
現代の私たちの暮らしや経営においても、時に「静かに守る」力が必要だ。
声を荒げず、派手な変革よりも、信頼を積み重ねる。
それは歯科医療における予防の姿勢にも似ている。
日々の小さな安定が、未来の大きな安心をつくる。
清水門の石垣を前に、そんなことを思わずにはいられなかった。
■ 次回予告:田安門へ
清水門が「静の徳川」を象徴するなら、次に歩む田安門は「動の徳川」を物語る。
田安家からは改革者・松平定信、そして幕末の忠義を貫いた松平容保が現れ、新選組へと時代は動く。
静から動へ——。
北の丸の門が語る、もう一つの徳川の物語を、次回のブログでお届けしたい。
第二部:動の徳川 — 田安門、松平定信、容保、そして新選組へ 「義と理想の狭間で生きた男たち」 「信念は、時を超える。」
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