山陰の歴史的な大地震に学ぶ――デジタル時代の義歯が命を守る
冒頭:2026年1月6日、揺れた朝に思うこと
2026年1月6日10時過ぎ、島根県東部を震源とする地震が発生しました。震度5弱を観測した地域もあり、私のクリニックのある呉市でも、ゆっくりとした横揺れを感じました。診療中でしたが、特にトラブルはなかったです。しかし「また日本列島が動いた」と実感しました。この辺りでは幸い大きな被害はありませんでしたが、山陰地区の方はいかがでしょうか?呉でのあのわずかな揺れが、改めて自然の力の大きさと、私たちの暮らしの脆さを思い出させてくれました。
歴史に刻まれた山陰の大地震
山陰地方――鳥取・島根を中心とした日本海側の地域は、一見すると静かな印象を受けます。しかし、地震の記録を紐解くと、そこには多くの災害の記憶が刻まれています。
たとえば、1872年の浜田地震。島根県浜田沖を震源とするマグニチュード7.1の大地震で、津波と火災が重なり、600名以上の犠牲者を出しました。街のほとんどが焼失し、海岸線は隆起しました。
さらに遡ると、1026年の「万寿津波」。石見国(現在の島根県西部)では、突如押し寄せた津波で家屋約3,000棟が流出したと記録されています。近年の地層調査でも、当時の津波堆積物が確認され、伝説ではなく実際の災害であったことが裏付けられています。
また、1943年の鳥取地震では震度6の強い揺れが鳥取市を襲い、市街地の8割が焼けました。さらに記憶に新しい2000年の鳥取県西部地震(M7.3)では、死者は出なかったものの、建物被害が4,000棟を超えました。
「山陰=静かな土地」というイメージの裏側には、繰り返し襲ってきた地震の歴史が存在します。
日本は“地震列島”――命と暮らしを守る備え
日本列島は、ユーラシア・北米・太平洋・フィリピン海の4つのプレートが重なり合う“地政学的に不安定な島国”です。
地震の発生は避けられません。しかし、備えることはできます。
東日本大震災の際、沿岸部の避難所で多く聞かれた声があります。
それは「義歯を失って、食事ができない」という叫びです。
義歯がなければ、栄養が取れず、体力が落ちる。避難生活の長期化で感染症リスクも高まります。
私たち歯科医療者にとって、義歯は単なる「噛む道具」ではなく、命をつなぐ医療器具なのです。
デジタル歯科が変える防災医療
かつての義歯は石膏模型とアナログ技術に頼っていました。地震や火災で模型やカルテが失われると、再製作はほぼゼロからの作業でした。
しかし今は違います。デジタルスキャナーとCAD/CAM技術によって、患者さん一人ひとりの口腔データをクラウド上に保存できる時代になりました。
もし義歯を紛失しても、データから即座に再製作やコピーが可能です。
義歯だけでなく、インプラントや矯正装置の設計データも保存できるため、災害時にも迅速な対応ができます。
「デジタル化=効率化」だけではなく、「デジタル化=命を守る準備」へ。
これこそが、これからの歯科医療の責任だと感じています。

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広島・呉から見つめる未来
私のクリニックがある広島県呉市も、瀬戸内海沿岸にありながら、地震の揺れを感じる地域です。
山陰の地震も、瀬戸内に近い断層を通じて影響を及ぼします。
だからこそ、「自分たちは関係ない」と思わずに、地域ぐるみの防災医療ネットワークを築くことが重要だと思います。
訪問診療でも、避難所や高齢者施設での義歯・口腔ケア支援が求められる時代です。
歯科の使命は、「噛むこと」を支えるだけでなく、「生きる力」を支えること。
デジタル技術を駆使して、その使命をさらに広げたいと感じています。
結び:学び続ける年に
今回の地震をきっかけに、あらためて感じたのは「自然の前に謙虚であれ、技術の前に学び続けよ」ということ。
1000年前の津波も、80年前の震災も、そして今朝の揺れも、同じ日本列島の鼓動の一部です。
私たちはそれを恐れるだけでなく、学び、備え、伝えることができます。
デジタル歯科は、その学びを形にする最良のツール。
2026年――私は、義歯も、インプラントも、予防も、デジタルで再現できる安心の医療を目指して、今年も学びを続けていきます。
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