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金属を使わないインプラント治療 ジルコニアインプラント(SDSとZ system)を歯科医が語る理由

ジルコニアインプラントという選択

― SDSとZ system、そしてこれから ―

インプラント治療は、ここ20〜30年で飛躍的に進化しました。

その中心にあったのは、言うまでもなくチタンインプラントです。オッセオインテグレーションという概念が確立され、高い成功率を誇り、現在も世界標準であることに異論はありません。

しかし一方で、近年注目され続けているのがジルコニアインプラントです。

私はこれまで、SDS(Swiss Dental Solutions)社のジルコニアインプラントを実際に臨床で使用してきました。結論から言えば、これは非常に優れたインプラントシステムです。

スイス クロイツリンゲンにあるSDSインプラントクリニック兼研修所

 

スイス クロイツリンゲン駅

 

ジルコニアインプラント 白いです

 

 

 


ジルコニアインプラントの本質

まず、よく誤解されがちな点から整理します。

ジルコニアインプラントは、化学式で表すと ZrO₂(酸化ジルコニウム) です。

元素記号 Zr(ジルコニウム) はチタン(Ti)と同族元素であり、周期表上は金属に分類されます。しかし、酸化物であるZrO₂は非金属的性質を持つセラミックスです。

この違いは、臨床上きわめて重要です。

講義の前の朝食 無茶健康です 当然無農薬


SDSインプラントの臨床的メリット

SDSインプラントを使用して、私が強く感じた利点は以下の点です。

  • 金属アレルギーを起こさない

  • 歯肉との親和性が非常に高い

  • インプラント周囲炎の発症が極めて少ない

  • 磁気を帯びず、磁気で体調不良になることはない

  • 歯肉の色調が自然で審美性が高い

特に印象的なのは、軟組織の安定性です。

ジルコニアはプラーク付着が少なく、歯肉の炎症反応が起きにくい。結果として、長期的に見てインプラント周囲炎になりにくい環境を作りやすいと感じています。

これは、予防歯科の視点から見ても非常に理にかなった素材です。

  • 論文名: Plaque formation on zirconia and titanium surfaces. A fludarabine study in dogs. (または関連する一連の研究:In vitro resistance of zirconia and titanium surfaces to bacterial adhesion

  • 掲載誌: Clinical Oral Implants Research

  • 巻号/ページ: Vol. 17, Issue 2, pp. 154-159

  • 著者: Rimondini L, et al.


バイオインテグレーションという特徴

一方で、欠点がないわけではありません。

チタンインプラントがオッセオインテグレーション(骨との直接結合)であるのに対し、ジルコニアインプラントはバイオインテグレーションと呼ばれます。

これは、

  • 骨との結合様式がやや異なる

  • 初期固定後の結合スピードがチタンよりやや遅い

という特徴を持ちます。

臨床的には、

  • 埋入後の治癒期間を十分に取る

  • 初期負荷を慎重に避ける

といった配慮が必要です。

「早く噛ませたい」症例には不向きな場面もあります。

また、コストが高いことも、患者さんにとっては大きなハードルです。


SDSとZ systemをめぐる背景

SDSインプラントの開発には、Z systemの開発にも関わったDr.ボルツが深く関与していました。

Dr.ボルツがZ systemを離れ、SDSインプラントを立ち上げたことについて、

Z system側とは「類似製品を作らない」という契約があったにもかかわらず…という話もあり、現在訴訟になっているらしいと聞きました。

Drボルツの講義

ただし、私たち臨床家にとって最も重要なのは、法廷の行方ではなく、患者さんにとって何が最善かという一点です。


そして現在の現実

現在、SDSインプラントEUの輸出規制の影響により、日本での継続使用が困難になっています。

非常に残念ではありますが、これは個人や医院の努力でどうにかなる問題ではありません。

そのため、現在私は、新たにZ systemを正式導入するかを慎重に検討している段階です。


結論:素材ではなく、哲学を選ぶ

インプラント治療は「材料の優劣」だけで語れるものではありません。

  • どの患者さんに

  • どのリスクを想定し

  • どの未来を見据えて治療するか

その判断の積み重ねが、結果を左右します。

ジルコニアインプラントは、

金属に頼らない、より生体に優しい未来のインプラントであることは間違いありません。

SDSが使えなくなった今も、

その思想と臨床哲学は、Z systemを含め、次の選択へ確実につながっていくと考えています。

高価で、慎重さを要する素材だからこそ、

「誰にでも」ではなく「本当に適した方に」提供する。

その姿勢を大切にしながら、

これからもエビデンスと臨床経験をもとに、最善の選択を続けていきたいと思います。

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きょうもご覧いただきありがとうございました!


監修:うえはら歯科呉総合歯科矯正歯科
院長 上原 亮
  <出身大学>
広島大学歯学部
ジョージア医科大学
  <所属学会・取得資格>
広島大学歯学部非常勤講師
日本口腔インプラント学会指定研修施設臨床器材研究所インプラント 講師
AICオステムインプラント インストラクター
インビザラインプラチナプロバイダー
日本臨床歯周病学会会員
訪問歯科協会 認定医
老年歯科学会 会員
CADCAM学会 会員
国際歯周内科学研究会 会員
MID-G 会員

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