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見えない汚染と見えない炎症

みなさんこんにちは!お口の健康から全身の健康を創造する医療法人ユナイテッド理事長上原亮です。

母校広島大学歯学部の同級生に宮古島出身の歯科医がいて、10年位前宮古島に行きました。

すごい綺麗な環境だったのですが、最近では地下水汚染問題があるそうです。

― 宮古島の地下水汚染から、歯科医療が学ぶべきこと ―

沖縄・宮古島の地下水汚染問題。

川のない島で、雨水が地下に溜まり、それが島民の命を支える「命の水」として使われてきた。

しかし近年、この地下水がネオニコチノイド系農薬によって汚染されていることが明らかになりました。

農薬が土に染み込み、海へ流れ出す前に、私たちの体に入り込む。

そして、胎児期の脳神経細胞へダメージを与える可能性が指摘されています。

宮古島では発達障害児の数がこの10年で40倍に増えたという事実——

この数字が偶然であると、誰が言い切れるでしょうか。


日本の基準の「甘さ」と医療の「強さ」

EUでは農薬濃度の基準値は100ng/L

一方、日本では20万ng/L

この差は単なる数値の違いではなく、命の価値に対する姿勢の違いです。

歯科医療の世界でも、似た構造が見られます。

「強い治療」「攻めの治療」が優先され、

患者さんの自然治癒力やQOLが後回しにされることがある。

抜かなくてもいい歯を抜く、

削らなくてもいい歯を削る、

抗生物質を過剰に処方して、口腔内の善玉菌を破壊する

結果として、見えない汚染=口腔内の生態系の崩壊が進む。

これはまさに、宮古島の地下水に農薬が滲み込む構図と重なります。


「毒」に鈍感な社会、「痛み」に鈍感な医療

私が尊敬する先生の言葉に、こうありました。

医者や政治家は「自分たちは特別」と思い込み、住民や患者の声を聞かない。

この一文は、歯科界にも深く突き刺さります。

患者さんの小さな「違和感」や「不安」に耳を傾けること、

それが真の医療です。

治療技術よりも先に必要なのは、リスニング(傾聴)という医療技術

血液検査よりも、まず「患者さんの言葉」を測定する力。

科学と人間性が両立して初めて、本当の医療が成立します。


見えない汚染を防ぐのは「選択」

宮古島の農薬問題の結論は、

「無農薬・有機栽培を選ぶ」という行動です。

では歯科医療での選択とは何か。

それは、削る前に守る選択です。

・フッ素やミネラルで再石灰化を促す

・SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)で炎症を早期に止める

・抗生剤に頼らず、バイオフィルムをコントロールする

つまり、口の中の水質(唾液と菌環境)を守ることが、

全身の健康を守ることにつながるのです。


「医療の正義」は静かに滲み出るもの

尊敬する先生は、85歳の患者さんの抗がん剤治療に対し、

「その年齢なら治療よりも穏やかな生活を」と諭されました。

しかし患者さんは医師の言葉に押され、結果的に短い余生を病院で過ごされた。

医療は、時に「命を救う」よりも「命の時間を奪う」ことがあります。

歯科でも同じ。

削る・抜く・詰める——技術の前に、「患者の人生」を想像すること。

これが医療の根幹です。


結論:

水質も、口腔も、環境である。

汚染は、いつも静かに始まる。

それを防げるのは、制度ではなく、一人ひとりの選択です。

歯科医師として、

「削らない」「壊さない」「守る」選択を日々積み重ねること。

それこそが、現代医療における“倫理”であり、“祈り”なのだと思います。

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    きょうもご覧いただきありがとうございました!


引用・参考文献

  1. 宮古島市上下水道部『宮古島市水道事業年報(2022年度版)』 ― ネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン・ジノテフラン)がEU基準値(100ng/L)を超える140ng/Lで検出。
  2. 沖縄県教育庁・宮古島市教育委員会「特別支援教育データ(2012〜2022年度比較)」 ― 小中学校における発達障害児数が10年間で約40倍に増加(沖縄タイムス 2022年5月報道)。
  3. 厚生労働省『水質基準に関する省令(令和4年改訂)』 ― 日本におけるクロチアニジンの水道水基準値は0.2mg/L(=200,000ng/L)。
  4. European Food Safety Authority (EFSA), Regulation (EU) No 1107/2009 ― EUではネオニコチノイド系農薬の食品残留基準を100ng/Lとし、2018年以降一部使用を禁止。
  5. van der Sluijs JP et al., “Neonicotinoids, bee disorders and the sustainability of pollinator services“, Science of the Total Environment, 2013. ― ネオニコチノイド系農薬とミツバチ減少(CCD)の関連を報告。
  6. European Commission Press Release (May 2021) ― 酸化チタン(E171)の食品添加物としての使用をEUで全面禁止。
  7. 日本老年医学会『高齢者のがん治療ガイドライン(2020)』 ― 75歳以上の抗がん剤治療はQOL低下のリスクが高く、支持療法中心を推奨。
  8. 白井伸雄『ネオニコチノイドとは何か』(岩波書店, 2018) ― 農薬の神経毒性と環境への影響を科学的に解説。
  9. 中山健夫『医療リテラシー入門』(講談社, 2021) ― 「自分の健康は自分で守る」時代に求められる情報リテラシーを説く。
  10. Dave Goulson『ミツバチからの警鐘』(NHK出版, 2017) ― 生態系保全と農薬の影響をわかりやすく解説。

※本記事内のデータ・数値は上記公的資料・学術論文・報道を基に構成しています。 医療情報として引用する場合は、必ず一次情報を確認の上ご利用ください。

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