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森の王者消失、そして秩序の崩れ (クマの出現と人間の関わり)

森の王者消失、そして秩序の崩れ

かつて日本の深い森において、ニホンオオカミ(学名 Canis lupus hodophilax)は、その存在自体が森の秩序を保つ“王者”だったと考えられています。明治期まで確認された最後の個体は1905年という記録があります。tenki.jp+2ウィキペディア+2

この王者を、人間の手で駆除・絶滅に追いやったことには、私たち人間の「森を支配・転用する横暴」が深く関わっていました。tenki.jp+1

では、その絶滅の先に何が起きたか。天敵を失った森では、草食動物(例えばニホンジカ)が爆発的に増え、植生が食い荒らされ、森そのものが荒廃へと傾きました。日本オオカミ協会

そして、今、見えている現象として、ツキノワグマら「次の王者」とも呼び得る動物が森と人里とのあいだで“秩序を保てない”状況に陥っているのです。たとえば、クマの人里出没が増えている背景には「森の中でこれまで通りの餌が得られない」「食物連鎖の頂点構造が変わった」などの要因が指摘されています。ねんごろ+1

この流れを借りて、私たちは「自然の秩序を破ると、次の“王”は必ずしも人間にとって良い秩序を維持してくれない」という教訓を得られます。

ニホンオオカミを祭る神社

写真家 林道子 HPより引用

林道子 ニホンオオカミへの追慕


森の秩序とお口・腸の中の秩序

さて、ここからは歯科医師としての立場から、森の秩序の崩れを「お口・腸の中の細菌叢」にたとえて考えてみましょう。

口腔内・腸内には、私たちが無意識のうちに共存している「常在菌」が数多く住んでいます。たとえば、口腔では「お口を外敵(病原菌)から守る」働きをする菌群があり、健全な細菌バランスが維持されていれば、虫歯・歯周病だけでなく、全身の健康にも影響を与えています。nishiarai-dental.com+2J-STAGE+2

しかし、この秩序が崩れたとき、「王者なき世界」がお口・腸の中で起きてしまう。具体的には、抗生物質・胃酸抑制薬・NSAIDs(痛み止め)などの薬を長期・乱用あるいは不用意に服用することで、善玉菌・有益な菌がダメージを受け、敵(悪玉菌・日和見菌)が優位になるという現象が報告されています。たとえば、長期の胃酸分泌抑制薬の服用は、口腔内常在菌が大腸にまで到達し、腸内環境を悪化させる可能性があるという報告があります。たまプラーザ南口胃腸内科クリニック 消化器内視鏡横浜青葉区院

また、腸のバリア機能の低下、いわゆる「リーキーガット症候群(腸漏れ)」は、薬やストレス、生活習慣など複数の原因によって引き起こされ、未消化物や毒素・細菌まで血中に入りやすくなり、全身炎症を引き起こすリスクがあります。神田西口うちだ内科+1

このように、森で王者を失って食物連鎖が乱れたように、私たちの体の中でも“統治者”たる正常な常在菌群を破壊してしまうと、次に出てくるのは秩序を保てない“王”=過剰増殖する悪玉菌・日和見菌、という事態になり得ます。


なぜ「王者なき世界」でトラブルが起きるのか

森において、王者=ニホンオオカミがいなくなると、頂点捕食者としての役割(餌となる動物を制御、植生を守る)が消えてしまい、次の動物(クマなど)がその役割を担えず、人間との摩擦が増えたり、森の荒廃が進んだりしています。

同様に、私たちのお口・腸には「王者的な菌」ではなく、むしろ「菌叢全体のバランス」が秩序を保つ鍵です。善玉菌・有益菌がしっかり機能していなければ、「悪い菌(=人間にとっての害をなす可能性を持つ菌)」が暴れ出します。

薬の乱用・過剰服用という人間の“横暴”が、菌叢における天敵を無くしたニホンオオカミ=善玉菌のような存在を弱らせ、その結果、秩序が壊れてしまう。なので、たとえば抗生物質や胃酸抑制薬などの“デカい武器”を安易に使うことは、菌叢という森を荒らしてしまうことにもなり得ます。

歯科医療においても、口腔常在菌をむやみに殺菌・除菌するアプローチが、必ずしも最良ではないという考え方が出始めています。口腔ケアで含嗽剤を用いて常在菌数を減らすという研究もありますが、菌叢という“森”全体を見たときには慎重なバランスが必要です。J-STAGE


「人間の横暴」に対する警鐘と、歯科医師としての立場からの提言

ここで改めて、私たち人間—特に医療・歯科を担う者として—が考えるべきことを整理します。

  1. 自然の秩序を壊すということは、次の「王」もまた秩序を保てない可能性がある。森にいる王者を滅ぼしたら、代わりの頂点が出るかもしれないが、それが人間の期待通りに動くとは限らない。

  2. 私たちの身体内部にも「王者なき世界」が生まれうる。善玉菌や有益菌という“天敵・統治者”を無意識に殺してしまう薬の多用は、口腔・腸の中の秩序を崩す行為と言える。

  3. 歯科・医療の現場でも、「殺菌=善」という単純な図式を見直す時代に入っている。例えば、口腔常在菌は外来菌から防御する役割を持つという報告があります。nishiarai-dental.com 薄く、慎重に菌を減らすのではなく、菌叢全体を活かす介入が求められています。

  4. 薬の飲みすぎ・頼りすぎに注意を。胃酸抑制薬、抗生物質、NSAIDsなどは、腸内細菌のバランス・腸粘膜バリア・口腔常在菌に影響を及ぼすとされています。たまプラーザ南口胃腸内科クリニック 消化器内視鏡横浜青葉区院+1 薬は適切なタイミング・適切な量で用いるべきで、依存や過剰使用は自然の秩序を崩すことにもなり得る。

  5. **自然に敬意を持って生きること。森であれ体内であれ、「王者なき世界」を作らない」選択を私たちが取るべきです。


結びに:生きるとは共存であり、敬意を持つこと

森を見れば、王者を失った後の荒廃が目に見えます。私たちの体内を見れば、菌叢の乱れは歯・口腔・腸・全身に波及します。

人間は、王者を駆逐し、自然を都合よく支配してきた歴史があります。しかし、支配=秩序ではなく、共存=秩序であると私は信じています。森の王者を滅ぼす行為の先にあった「秩序の崩壊」に、私たちは学ばなければなりません。

歯科の臨床・経営・発信を通じて、私は「菌を全て悪者扱いするのではなく、菌叢全体の秩序を守る」という視点を伝えていきたい。私たちが薬をどう使うか、その選択ひとつひとつが、体内という森の中の“王者なき世界”を避け、秩序ある森を守ることにつながります。

そして、自然の森にも、体内の森にも、敬意を持って関わる生き方—それが、私たちがこれから取り戻すべき“王者なき世界への回答”だと思うのです。

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